news『歯周病』って言葉ではよく聞くけれどどんな病気?

こんにちは!10月に入り、少しだけ涼しく感じられるようになりましたね。

前回までは、むし歯の治療に関わるお話をさせていただいていました。今回からお口の中のもうひとつの代表的な病気である『歯周病』について数回に分けてお話していきます。
虫歯は冷たいものがしみたり、実際に歯が欠けたりすることでご自身でも気づくことが多いですが、歯周病は日常的に「歯周病かな?」と気づくような自覚症状がないことがほとんどです。
それでは歯周病が一体どんな病気か、どういう検査でわかるのかをお話していきますね。

歯周病とはどんな病気?

まず歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
歯と歯との間や歯と歯肉の境目(歯肉溝、歯周ポケット)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりしますが痛みはほとんどの場合ありません。しかし、進行すると膿がでたり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。

歯周病の原因

お口の中にはおよそ400~700種類の細菌が住んでいます。
これらは普段あまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、糖分を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。

この歯垢1mgの中には約10億個の細菌が住みついていると言われ、むし歯や歯周病をひき起こします。その中でも歯周病をひき起こす細菌が多く存在していると言われています。この歯垢の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となります。
歯垢は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着します。
この歯石はブラッシングだけでは取り除くことができない上に、この歯石の中や周囲に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続けていきます。

ブラッシング不足以外にも歯周病を進行させる因子(リスクファクター)があります

1.糖尿病などの全身疾患
2.歯がない部分を放置している
3.喫煙
4.歯ぎしり、くいしばり
5.妊娠
6.不適合なクラウンや義歯
7.不規則な食習慣
8.薬の影響(高血圧の薬やステロイドなどの免疫抑制剤)
9.遺伝
10.ストレス

このような方は歯周病になりやすいあるいは進行が速い傾向にあるので、より注意が必要です。
参照|https://www.jacp.net/perio/about/

歯周病の検査方法

歯周病がどのくらい進行しているのかを調べるために、歯周基本検査という検査をしています。実際どんなことをしているか気になりますよね。
歯周基本検査では、歯と歯茎の間にある溝の深さ、歯肉からの出血と歯の揺れ(動揺度)を調べています。

歯と歯茎の間の深さを調べるには上図にある細い器具で計測していきます。
深さが、
1〜3mm:健康な歯周組織
3〜4mm:軽度歯周炎
4〜5mm:中等度歯周炎
6mm以上:重度歯周炎
となっています。
この時に歯肉からの出血も確認しており、検査による出血は現在その出血が認められる歯に歯周病による炎症があることを示しています。

もう一つは歯の揺れ(動揺度)は、ピンセット状の器具で歯を1本ずつ挟んで測定しています。
揺れが、
0度:生理的な動揺
1度:軽度の動揺あり
2度:中等度の動揺あり
3度:重度の動揺あり
となっています。
揺れを調べることで、1本1本の歯を支えている骨の破壊度を把握することができます。

参照|https://www.shika-yogojiten.jp/dictionary/356/

まとめ

歯周病のことを少しは知っていただけましたでしょうか?歯周病治療は、今回お話しした歯周基本検査を基にしてすすめていきますが、そちらは次回以降にお話しさせてください。
「痛まないから大丈夫!」ではなく、痛みのない健康な歯を大切にするためにも一度検診にお越しいただけたらと思っております。

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